【『春巡る』1巻ネタバレ感想】心えぐられるストーリー

少女漫画

『僕等がいた』でお馴染みの小畑友紀さんの現在連載中(しかし現在休刊中?)の新作です!

『僕等がいた』は、中学生の頃に発売して読み始め、途中連載休止していたこともあり、10年かけて主人公たちとリアルタイムで同じように年を取っていったので、非常に思い入れの深い漫画です。

そしてストーリーが深くて重い。非常に考えさせられる内容でした。今回はどんな作風なのか楽しみです。

 

自殺をしようとした篠崎梅乃

幸せな環境で育った顔も可愛い梅乃。しかし、高校生に入った途端イジメに遭い、橋の上から飛び降り自殺をしようとします。目を覚ますと病院のベッドの上。

「こんな人生 もういらない のに」

その病院で、入院中の子たちと仲良くなり、空手をやっているという同じ高校一年生の男の子悠聖(ゆうせい)に出会います。

とりあえず私の第一印象「あっ!!矢野っ!!!」(←僕等がいたの主人公の名前)

やっぱりこの方の描く男の子は本当に綺麗!明るい性格なのに、どうしてがあるように見えるんだろ。

 

悠聖に心を開いた梅乃は、いじめられて死のうとしていたことを打ち明けます。

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(C)2013 小畑友紀「春巡る1巻」より

そして悠聖の退院の日になり、「梅乃が学校行けたらいつでも会いに来い」と約束します。

最後に悠聖がなんで入院してたか聞くと「悪性骨形成性腫瘍」と明るく答えました。

梅乃が入院していたのは、全国有数の小児がん専門病棟でした。

 

あ~これは。。。

生きたいのに病気な子×健康なのに死のうとした子」っていうパティーンか。。

しんどいやつだ。まだまだ序章ですが。少なくともテーマは「命」ですね。

 

中学3年生の悠聖と菜のは

悠聖の中学3年生の話です。

菜のは悠聖は同じ空手教室に通うライバルのような存在。

中学3年生の頃、悠聖はヒザに違和感を覚え始めます。

ある日悠聖が稽古中に倒れ、病院で診断を受けると、骨肉種であり足の切断を余儀なく勧められました。

 

菜のはは悠聖のことが心配で稽古も休みがちに。

悠聖は東京の病院でセカンドオピニオンを受けることに。

東京での診断を終え、悠聖は菜のはを呼び出して稽古の相手になってもらいます。

悠聖の空手はこれが最後になると悟った菜のは。

 

ここの菜のはと悠聖の稽古のやり取りが究極に辛い。

「おまえはサボったって伸び悩んだって これからずっと続けて鍛えて鍛えて いつかはオレの辿り着けなかったところに行くんだ」

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(C)2013 小畑友紀「春巡る1巻」より

悠聖の本音が剥き出しになっている。

このキツイ発言非常に心に刺さる。菜のはの中途半端になってしまっていた空手への情熱の否定。これ菜のはの為に言ってるのかなって一瞬思ったけど、別に悠聖は何も考えていない気もする。

この作者の描く男の子って、時々ものすごく冷たいこと言うんですよね

それに意図があるときと、理屈じゃない行動のときがある。

言葉では説明できない感情の奥の奥からくる行動。人間の行動って全て説明ができるわけじゃないですもんね。

そう言ったところがこの方の描くキャラの魅力なんじゃないかなと勝手に思っております。

とりあえずここのやりとりでは、悠聖が今までいかに真剣に空手に取り組んできたかがよくわかりました。

 

そして、悠聖は足は切らないと宣言。可能性を信じて治療をすることに。

笑顔で前向きに語る悠聖に菜のはも安心して涙。

悠聖は、東京の病院に入院し予想以上に治療はうまくいき、膝に人口骨を入れることに成功します。そして、梅乃が入院してきた春がやってきました。

 

えっと。。。ヒロインが二人いる...?

恋愛が絡んでくるのかは今のところわかんないけど、少なくとも二人は悠聖のことが好きだよね。

 

亡くなる子を目の当たり

理沙という中学3年生の女の子が亡くなってしまいます。

命が尽きる直前の様を「のどが渇く」と表現しています。病気の苦しさと、その苦しさからの解放、何ともやるせない気持ちです。。最後は「水をありがとう」と。

身近に当たり前にあるお水で例えられてることが何とも考えさせられます。ただ普通に生きるということがどれだけ奇跡であることか、、そんなメッセージを感じとりました。

自分がこのままふつうに生き続けると信じていても、容赦なく亡くなる子もいる。酷な現実を突きつけられるお話でした。

 

自分が「かわいそう」なのかと問いていた佳野

悠聖の真っすぐな言葉が心に響きます。

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(C)2013 小畑友紀「春巡る1巻」より

希望を見失わない悠聖。強い。でも何故か、吹けば飛んでしまいそうな弱さも勝手に感じとってしまいます。イラストの儚さから感じ取るのか、キャラクターの言動の節々に感じるのか。

まだまだ今後の展開が読めません。

 

作者のあとがきを読んで

作者の母が肺がんで亡くなったことが書き記されていました。

それが今回のテーマを選んだきっかけだと。

この漫画がずっしり重くリアルに感じるのは、作者の実体験も大きく影響しているのかなと感じました。

『僕等がいた』とはまた違う作風でしたが、間違いなく小畑友紀さんの作品って感じです。

 

普段少女漫画を読むとき、ただ萌えを叫ぶだけの私ですが(過去ブログ参照)、いつもより真面目な文章書いてる気がします。ええ。

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